2010年8月1日日曜日

WIKILEAKS(ウィキリークス)について。小島慶子キラ☆キラより。

7月27日の小島慶子キラ☆キラより、上杉隆さんの話の抜粋です。
私の個人メモからの内容なので、興味のある方はポッドキャストで聞いてください。
本放送、面白いです。

海外メディアで大きく取り上げられている話題がある。
「WIKILEAKS(ウィキリークス)」はオーストラリア人の元ハッカーが作ったサイトで、政府とか内部告発者に情報をサイト流してくれ、というもの。
元ハッカーがつくっているから安全性はかなり自信があり、誰が漏らしたかはわからない様になっている。
今回、このサイトがアフガニスタンでの2004年から2010年までの約9万点の機密文書のうち、7万5千点を一挙にリークした。

漏らしたのは軍の内部の人、ある程度限られた人だと言われている。
アメリカのどこの社(マスコミ)も、ニューヨーク・タイムズがかつて1971年にすっぱぬいたペンタゴンペーパーという大事件があったが、これに匹敵するものだとしている。もしくはそれ以上のものがだされたとされる。
ウィキリークスサイドは発表する前にあまりにも強烈なものなので、まちがいがあってはいけないと事前にニューヨーク・タイムズ、ドイツのシュピーゲルとイギリスのガーディアンに予め文書を渡しておいて、検証しておいて、解禁日がきたらいっせいに出しましょう、ということにした。
日本と違うのは、既存メディアというのはウィキペディアとかツイッターとかネットメディアを目の敵にしているが、海外ではこういう時には、協力しましょう、となる。
政府が隠していたことをマスメディア全員で調査するのは当然なので、全員で暴露した。

今回の文書から民間人の死んだ報告が一分しかされていなかったこと等が明らかになった。
公権力の不正を暴くというジャーナリズムの最高の機能で、世界中でこの報道が出ている。
日本では辻元清美さんが離党したことが当日大きく扱われたが、この記事はあまり新聞でも大きく扱われていない。
海外では一面トップというか、こればっかりやっている。

日本でこの報道を余りやらない理由。
これをあまりつっついていくと、政府の機密情報にジャーナリズム一丸となって政府が隠していたものを調査したんだ、正しいことをやったんだ、ということになると、じゃあ官房機密費問題は、記者クラブはどうなんだ、ということになる。
日本の場合は機密費問題を野中広務さんが言い、メモ、リストもでた。
本来なら全ジャーナリズムが機密費問題を一緒になって追求するべきなのに、なぜか止まっている。そのことに、後ろめたさがあるのではないか。
大きく扱うと、自分たちはどうなんだ、ということになる。

ウィキリークスは多分1000人くらいのボランティアで経営されている。
もともとはオーストラリアのハッカーが始めたものだが、ジャーナリストも協力したりしている。
ここから情報を得たり、取材に入ったりしているが、ほとんどボランティアでやっている。
その精神というのは公権力が隠すものを暴くことがジャーナリズムの使命で、国民、国境関係なく世界的に人類のために寄与することだと創設者は語っている。
その人の言葉でもう一つ、「優れたジャーナリズムは本質的に物議をかもすものだ」、というのがある。
物議をかもす情報に権力は反発する、ということは、その情報は事実だということだ。
今回の情報にはアメリカ政府も困ってしまっていて、これを打ち消そうとスピンコントロールが始まっている。
それにまんまと乗っかってるのが日本の新聞である。

(産経新聞をラジオ上で引用して)
ウィキリークスに関して
「流出源は明らかではない。伝聞情報が少なくなく、情報の精度は不明」
「今回、情報の精度の検証を行って、発表した」

こういう書き方をするのはネットメディアに対する差別である。
産経新聞だって伝聞情報であり精度だって過去どれだけ間違えたか。
ネットメディアだからうさんくさいものですよ、と必ずひとことかいているが、これについては政府が認めているから、精度がどうこういう必要ない。

(小島慶子さん)
産経新聞の取り上げ方でいうと、アメリカの政府が情報を隠していた。
アメリカで行われている政府の不正ということよりも、ネットでそういう事が流出したけど、ネットの記事だから必ずしも信用できないかもしれないよっていうことがニュースになってしまっている。

この新聞の書き方では、リークの中身の問題ではなくなってしまっている。これがどうしてもれたとか、なんでネットなのかと書いていて、ちょっと違うんではないかとおもう。
誰が公表するか、それが事実かが問題で、事実なら政府はこれに説明をしないといけない。
民主主義の知る権利が今回はネットのメディアに守られた、ということだ。

(小島さんの「今回ネットからこういう信憑性のある情報出たのは何故か?」という質問に対して)
アメリカでは既存メディアに対するメディア不信が高まっていて、隠してることがあるんじゃないかと思われている。
一番わかりやすいのが、ダン・ラザーというCBSのキャスターの辞任劇の件。
このキャスターわざと誤報を流したり、ネットメディアがそれを見破ったりした経緯から、情報は見極めるべきだという感覚になっている。
日本の若者はネットの情報しか信じないという極端な風になってしまっているのはそれはそれで問題ではある。

今回のリークは、完全に政府が認めているが、更に問題は、9万点のうち、1万5千点がまだ未公表であること。
2004年からの文書群なので、日本がアフガン戦争に絡んでいったという時期でもあり日本関連の情報も隠されてるかもしれない。
更に、アフガン特措法に関してはアメリカの情報を基に法律を作ったので、見直しの可能性もある。
(小島さん:アフガン戦争を今まで支持してきた国も、考え直すかもしれない)
テロ特措法に関しては、アフガンの支援、それからアフガン戦争のために作った法律。
そうするとその前提が崩れた。民間人の犠牲も違って、数字も違うということになる。
仮にこれがもし、事実だとしたら、それこそ全体的に国会で見直しが必要になる。

キラ☆キラを聴いてる人は、このニュースの価値がわかったと思うが、これは普通の世界の感覚。
政府や公の機関が隠したものはメディアの壁を超えてきちんと出すことが重要。
日本の場合は、どうもメディア自身が、自分たちで隠そうとすることがあまりにも多すぎてしまって、こういうことも含めて大事なことの足枷になってしまっている。


最後に上杉さんは「スイカがおいしい。」で締めましたが、ニュースの扱い方が海外と違っていることはよく取り上げられるかと思います。
私は放送を聞いていて上杉さんの産経新聞の取り上げ方もあまりフェアではないようにも感じました(本放送上では神足さん、小島さんがすこしフォローをしていました。特に一部分を読んで批判を展開しようとしていた上杉さんに補足で神足さんが続きの文章をさらっと紹介したのはすばらしかったです)。
ただ、全体の印象からすれば瑣末なことでした。
それ以上にこの関連のニュースの取り上げ方が軽すぎることを紹介してくれたことの方が重要でした。
マスコミ全体が自らは官房機密費問題について調査委員会を立ち上げもしなければ、説明もしていません。
にもかかわらず、小沢一郎さんや相撲協会については「説明責任」を連呼することのおかしさについては上杉さんが批判をするのはとても共感できます。
私自身は今回上杉さんの言っていることが正しいのか検証してみる能力も時間も持ち合わせていませんが、ウィキリークス発のアフガニスタン問題の取扱い方は注目しておいたほうがよさそうです。