2010年8月28日土曜日

家族の距離について。小島慶子キラ☆キラより。

8月18日の小島慶子キラ☆キラより、抜粋です。
家族の距離についての小島慶子さんの話が感動的でした。
小島慶子さん(以下”小島”)
「八王子市47歳男性信州限定ライダーさん。


一番会いたいのは可愛がってもらった祖母より大嫌いだった親父かな。

親父のことを私は思春期の頃から嫌いで、二年前に他界するまでまともに口を聞いたこともありません。

私が三十代半ばを過ぎた頃、これじゃあまずい、何とかしなきゃと思って、我慢するところはぐっと我慢して、両親そろって旅行に連れて言ったりもしたけど、やっぱりだめでした。

無くなる頃は最悪の関係で、突然の入院にも見舞いさえ行きませんでした。

頑健な人だったので、それほど重い病気だとは思っても見なかったのです。

でも病状が急激に悪くなり、まさかひょっとしたらと一度だけ病室に顔を出した数日後に死んでしまいました。

オヤジが死んで実感したことは人が死ぬとその人のもっている知識とか記憶とかが世の中から消滅してしまう恐ろしさです。

気軽に聞けたこといつか聞こうと思っていたことが永久に分からなくなってしまいました。

オヤジが78年間見てきたことの中には聞いて置かなければいけなければたくさんあったはずなのに。

できることなら大っきらいな親父にもう一度会いたいです。」


ライムスター宇多丸さん(以下”宇多丸”)
「はあー、なるほどね。やっぱでもそれはありますね。あの、いつか聞くかみたいな、いつかこの話するかみたいな」

小島
「ねえ、家族ってねやっぱ仲良くなきゃいけないよなって思ってね、家族の中にも馬のあわない人、まあ、いたりするじゃない。」

宇多丸
「あるんだろうね。いっぱいいるとね」

小島
「そんなに珍しい話じゃないと思うんですけどね。でも、やっぱり仲良くしなきゃなんて思って、無理やりあったりとかね。で無理やりあってるものだから余計に関係こじれちゃたりね。」

宇多丸
「はいはいはいはい」

小島
「むずかしいところあるじゃない」

宇多丸
「これはでも、これもね、その間はね、いかんともしがたいんだよね。」

小島
「でもね、ある先生がいってました。そういう家族問題に詳しい先生が本お腹でおっしゃってたんだけど。無理して合わなくていいんだって。無理して合わないでお互いを一番思いやれる距離を保つのがいいんだって。」

宇多丸
「ちょうどいい距離があると」

小島
「そう。かぞくなんだkらなるべく近くに行かなきゃいけないと思うからこじれるんだから、お互いに丁度良く相手を思いやれる心地良く要られる関係の距離をみつけて、もしかしたらそれはあわないってことかもしれないけど、でもそれをみつけてその距離をたもつことで十分家族というのはいいんですよっていうふうにおっしゃってた方いました。」

小島
「まあ、だから、ライダーさんは後味悪い思い出だったかもしれないけど、もし私が自分の息子にこういうふうに言われたら、『俺おふくろ大っきらいで死ぬまですきになれなかったけど、実際後になって会いたい』なんていわれたら、仮に私に魂があってそれを察知することができたら、うれしいな。
ほんとにあいつは最後まで可愛くなかったけど、死んだ後そんなこと言ってくれるなんてなかなかやるじゃないか、産んでよかったっておもうかもしれないな、もし私だったらね」

宇多丸
「これが俺達の距離だからいいんだ、とおもえるといいかもしれませんね。」
長い介護生活をした人以外の多くの親を失った方の話を聞いた限りでは、大抵、「もっと色々と聞いておけば良かった」という感想を抱くようです。
この信州限定ライダーさんの感じた、知識や体験が永遠に消えてしまうことの残念さは、どう行動してもある意味では避けようのないことなのかもしれません。この方の誠実なメールに失礼な感想かもしれませんが、実はこの方は単純に仲直りを出来なかったことに一番後悔しているのではないかなあ、とも思いました。
それはさておき、小島さんの感想が感動的です。
もし私が自分の息子にこういうふうに言われたら、『俺おふくろ大っきらいで死ぬまですきになれなかったけど、実際後になって会いたい』なんていわれたら、仮に私に魂があってそれを察知することができたら、うれしいな。
ほんとにあいつは最後まで可愛くなかったけど、死んだ後そんなこと言ってくれるなんてなかなかやるじゃないか、産んでよかったっておもうかもしれないな、もし私だったらね
女性に対する悪口で、よく、「女は子宮で考える」とか言われたりします。
私はこの小島さんの感想はとてもいい意味で「子宮で考えた」感想なのではないかと感じました。
小島さん自身も家族関係がややギクシャクしていたらしい体験を通り抜けて、親との距離との保ち方がわかったという話を以前話していらっしゃいました。
ライダーさんに対する思いやりの言葉としてここでは小島さんは喋っているのですが、自身の体験から引き寄せた家族の距離の話と、自分の子供にまで共感を引きつけて喋っています。
何かを考えるときに自分にしっかりと引きつけて考えるのはとても大切なことです。
親と子の関係は必ず距離があって、しかし必ず距離を一息に飛び越えられるものみたいです。