2010年8月3日火曜日

子ども科学電話相談より、藤田智先生きゅうりの栽培のについて。

7月30日のNHK「夏休み子ども科学電話相談」より、富山県小学2年生の男の子の質問から。


男の子「どうしたら、きゅうりはまっすぐになりますか?」


藤田智先生「きゅうりはプランターで育てているんですか?お庭とかで育ててるんですか?」

男の子「プランター」

藤田智先生「きゅうりは何本くらい育ててるんですか?ひとつ?ふたつ?」

男の子「えっと、何個だっけ。」

藤田智先生「今まで何本くらいとれたの?」

男の子「何本くらい取れたかな?うーん、数えてないからわからん」

藤田智先生「(とれたきゅうりは)全部曲がってた?、まっすぐなのはあった?」

男の子「まっすぐなのはあった」

藤田智先生「最初はまっすぐなのがとれて、あとから曲がってなかった?どうだろ?」

男の子「はじめはまっすぐなのがあとからまがってきた」

藤田智先生「それはね、育ててるうちにまっすぐなきゅうりをそだててる条件というのがあってね、
水や肥料が不足すると曲がってくるっていう性質があります。
水は1日2リットル、一週間に1ぺん必ず肥料をプランター全体に巻いてください。
それでまっすくにきゅうりができてきます。」



その後、先生はきゅうりにかぶせる袋を使う方法、種をとる方法を男の子に教えました。

・きゅうりは種を取るためには40cm位に伸ばさないといけない。
・大きくなると黄色くなってくる。黄色いうりと書いて、きゅうりとなった。
・おおきくなってから乾かして、種が取れるかもしれない。
・富山にはおおきなきゅうりがあり、1本kgくらいになる(どっこ胡瓜)。

全部の放送が聞けたわけではないのですが、藤田智先生の回答はすばらしかったです。
NHKの科学電話相談は2つ個人的に気に入らないところがあって、子供の純粋さを神格化しすぎている場合があること(特に感想を送ってくる大人が)、もうひとつは若干ですが「お決まりの教育的ルート」の回答を急ぐあまり、子供への回答よりも、「これこれこうしてごらん」という先生の意見の押し付けがあるところ、この2つが気にかかることがあります。

この日もハリセンボンの質問にフグの構造のことばかり話してしまった先生がいらしたり、グッピーを「胎生メダカ」と表現したり(「卵胎生メダカ」でないと、へその緒つきのグループを指してしまうのでは?)、卵胎生と卵生の違いは説明できても何故そのような違いができたのかの回答になっていない部分があったり(これに答えるのは極めて困難なのはどんな立派な先生でも同じなので、応対の仕方の問題になってしまいますが…)、まあ不満はあるのですが、藤田先生はリアルタイムに先生が実際に体験したことを聞きながら答えているため、説得力が違います。


男の子のきゅうりが最初の収穫ではまっすぐだったのに、途中の収穫からまがってきたことを電話口から話しながら引き出し、プランターの大きさを確認したら、水の量まで具体的に2リットルとアドバイスをしています。
これは栽培を「実践」している人の言葉にまちがいありません。
電話相談の先生はどの先生もスゴイ方ばかりで、私ごときが文句をいうのは気がひけるのですが、先生方の中でも聞いていてすっきりする先生と、まあまあの先生がいらっしゃいます。
藤田先生は知識と話術以外の実際の経験の重さの種類が他の先生方と違うような気がします。
ラジオの向こうから、土に触れていて、栽培の上で誰もが突き当たる壁にちゃんと当たってきている人なのだと思います。