2010年8月26日木曜日

電波オークションの話。荒川強啓デイキャッチ!より。

8月23日の荒川強啓デイキャッチ!より経済ジャーナリスト町田徹さんの電波オークションについての話の抜粋メモです。
総務省が電波オークションを特定財源として自分たちの手元に置きたいという本音を持っていて、「一応電波オークションについて検討したが延期」というポーズを取るために別の審議会でちいさな別の結論とセットで話を進めようとしているという話が興味深いです。


周波数をどこの業者に割り当てるのかは、今まで官僚が今まで勝手に公益に役立ちそうだと思った会社に渡していた。ビューティーコンテストと言われていて、官僚が良いと勝手に思った会社に認可を出していた。

にわかに議論され始めているのは、地デジの跡地に色々な周波数が出てきて、その周波数をどうするか、ワンセグ後釜のような企画であるのVHF-HIGHをどうするか話が出ている。ドコモとKDDIのうち、ドコモに決まりそうだが、民主党議員から入札をやらせろという話が出ている。

この周波数の割り当てに入札を導入するのが電波オークション。
2000年頃のヨーロッパのITバブルは、ひとつの周波数の獲得に10兆円くらいかかるようになってしまって、関連会社が赤字を出してまで周波数の確保に走った。それが大問題だということになっていて、これを盾に総務省は電波オークションに反対しているが、本当の反対の理由はヨーロッパで起きた問題とは関係がない。

電波オークションの利益を特定財源として電気通信の振興策として使えるならいつでも導入したいが、一般財源にされるなら嫌だというのが総務省のホンネ。

93.94年頃には郵政省クラブを担当していた町田さんに電波オークションの話を新聞に載せられないか相談をしてくるほど総務省は電波オークションをやる気があった。

ところが常に財政再建の話が出てくるから、財政赤字がつづいている時期に電波オークションを実施すると、財源として大蔵省・財務省にとられてしまう。
実施を先送りにして隠しておいて、国の財政が豊かになったらやりたいというのがホンネ。

別件の話になるが、現在、電波利用料の見直しの研究会が総務省で立ち上げられ、7回くらい実施されているが、「そろそろオークションについて考える時期ではないか」と総務省の事務局の方から研究会にオークションについて打診しているが、これは他のことを狙っていて、利用料精度の刷新という小さな変更をしておいて、「オークションは時期尚早だ」という結論を審議会からもらうために、わざと打診をしている。

電波オークションを入れると特定の電気通信事業者が文句を云ってくる可能性が高い。
ドコモやKDDIには以前良い帯域を渡しているのに今回から有料だというのはずるい、とソフトバンクやイーモバイルから言われる可能性があるので、民主党も総務省も本腰になっていない。今回は電波オークションは先送りになるのではないか。
制度として導入するが、実施は将来からとなる可能性がある。

今は財政再建の時期なので、もし実施をすれば、2兆円くらいはすぐに収益として入る。
携帯電話会社は過去最大の利益をあげている。これをみすみす見逃すのはどうなのか。
デイキャッチを注意深く聞いているとわかるのですが、町田さんは自分で取材していなかったり詳しく調べていない内容についてコメントをするときに「はっきり調べていないので/取材していないので断言はできないが」といったように注意をしながら喋っていることが多いです。
マスコミの方は調べずに情報を発信できない立場にあります。
情報というのは本当は取捨選択していれていかなければいけないものですが、マスコミ以外の日常を送っている私達はいちいち全てのニュースで裏をとることなど不可能です。
最終的には何かを信じるしかない場合が多いのですが、町田さんのように注意深さが見えるジャーナリストは信頼に値するのではないか、と私は思います。
総務省が電波オークションを特定財源として自分たちの手元に置きたいという本音を持っていて、「一応電波オークションについて検討したが延期」というポーズを取るために別の審議会でちいさな別の結論とセットで話を進めようとしているという話はこれまでの日本の縮図になっていると思います。いくら制度について勉強をしようが、政府発表の統計データをみようが、こういう「ホンネ導入のためのポーズとしての審議」をやられてしまうと、よほどあからさまなものでなければ、問題は見えないまま素通りされてしまうと思います。本当に問題と近い距離にいるジャーナリストが正確に発言をしていくことの重要さを感じます。