フードファディズムとは必ずしも正しいとは言えないような情報に惑わされて食品を買ったり買わなかったりする現象とのことです。
私は1日で野菜の必要量がとれる野菜ジュースについては完全に信じてかっていましたし、BMI22以下なのに何も考えずにヘルシアスパークリングという商品を買っていました。
ので、群馬大学教育学部高橋久仁子さんの話はものすごく興味深かったです。
以下、私のメモ。
砂糖は骨を溶かすとか、炭酸は骨を溶かすとか、変わった話が多かった。自分はおかしな宗教に振り回されないと信じている人ほど危ないとか、そういう話がよくありますが、納豆騒動をバカ扱いして笑っていた私も案外あっさり特保表示に騙されていたりして、情報の恐ろしさがつくづく身にしみました。
うま味調味料が体に悪いとか、コーラが骨に溶かすとか、おかしい話が多いと思ったので、94年に専門書で「フードファディズム」という概念を外国語の専門書を見つけて、それを翻訳した。
その後、講談社から「食べ物情報ウソホント」という本を連載をまとめたものを出版した。その後の状況はおかしくなるばかり。
コラーゲンは食べたらプルプルとか、フグ食べたらプルプルとか、まさにフードファディズム。
コラーゲンはタンパク質。タンパク質がタンパク質のまま吸収されたらそれは食物アレルギーである。
タンパク質は必ず分解されてアミノ酸になって吸収される。
コラーゲンをいくら食べてもコラーゲンになるわけではない。
豚肉食べたら豚肉になるのかといえばそうではない。
96年に化粧品にコラーゲンを肌に塗っても吸収されないと言ったら、食べることになってしまった。
よく広告を読んで欲しい。
「コラーゲンを飲んでお肌ツルツル」で終わっている。「ツルツルになる」とは書いていないのに注目。あくまでも被験者の感想として書かれている。
アミノ酸だといいような気がするが、悪口を言われる化学調味料だが、グルタミン酸は一方でアミノ酸。
添加物なしというのも大きくいわれるが、それもフードファディズム。
今の日本の制度で使われている食品添加物はまずほとんど問題ない。
分量の関係で使いすぎ用が無いものが多い。
着色料などは自分で使ってみるとわかるが、害があるほど入れることができないくらいちょっとしか入れられない。
アミノ酸も食品添加物。無添加の食べ物と、太らない方にカロリーゼロの飲み物とか(矛盾である)。
極少量で甘さを発揮する甘味料はたくさん食べ用がないくらい
0の表示は100mlあたり5kcal以下なら0と書いて良い。4.9kcalなら0表記は良い。
実際の科学的根拠とは関係の無い情報から商品を買う状況になってしまっている。
食べ物がありあまってきてモノの売り方にマーケティング戦略などで体にいいなどのコンセプトで売られるようになる。
体にいいとは何のことかを考えたほうがいい。カロリーゼロのものがいい人もいるが、炎天下で動いたら、カロリーのある普通のコーラを飲んだほうがいい場合もある。
喉の渇きは水で癒して、味のついたものはのべつ幕なしに飲んでいいというものではない。
味のついたものは嗜好品として味を楽しむものである。
昔の食料品より現在はかなり品質は上がっている。
コールドチェーンの発達で品質はあがった。
以前は刺身に出来るさんまは東京でも難しかったのに、今は海なし県の群馬でも刺身にできるさんまが手に入るようになった。
日本の食品メーカーはほとんど真面目に仕事をしてはいるが、どの業界にも悪い人がいる。
一部の悪い人を全体のように報道してしまうのも悪い。
野菜ジュースを飲むと野菜食べたほうがいいような気がしていますか?
「野菜一日これ一本」という商品についても(これに限らずだが)25種類の野菜を350グラム使ったことになっている。
よくパッケージを読むと失われた成分があるとちゃんと書いてある。
25種類の割合は企業秘密なので教えられない。これはあたりまえなので、350÷25種類で14グラム。
25種類の野菜を仮に14グラムずつ食べるとパッケージ表示の5分の1くらいになる。
この商品に限らず、野菜ジュースは絞り汁になっているので、つくる際に使用して捨てられる側に栄養が残っている。
美味しいから飲むのはいいが、健康のためというのは優良誤認。
「無添加商法」というのもある。「不安便乗ビジネス」とも表現する。
その辺のスーパーで売っているものに(特殊なものを除けば)問題はほとんどない。
すべての加工食品の栄養成分表示をするようにしたほうがいい。スーパーなどの惣菜の表示もしたほうがいいだろうが、現状はムリだろう。
「保存料」と聞くととても怖いものに聞こえる。おにぎりにPH調整剤と聞くと嫌な人がいたりするが、「クエン酸」とか寿司につかう「酢酸」と書くと別に嫌と思う人が多いのではない。
私達の体はすべて化学物質だし、食べ物もすべて化学物質。
「自然天然」という用語にひかれる人は「特保」にひかれる人がおおいという調査がある。
「特保」は自然天然からかけ離れた加工品。
「特保」は非常に限定的な効果だということを理解して欲しい。
「ヘルシア緑茶」の場合、アカデミックパンフレットをみると、BMI26以上の人に効果があった。
一方別の実験では適正BMI未満(22)の人には効果がない(やせ細っていくことはない)、だから安全だと言っている。
高橋さんの調査では、BMI22未満の人が45%もこの商品を飲んでいるが、メーカーが公言している通り、効果はない。
「特保」はどの範囲の人に効果があるものか、良く調べてから利用しても遅くはない。
テレビの情報が予め流通網に流れる話も多い。
バナナを朝食べると痩せるというが、あたりまえ。
朝から沢山食べていた人がバナナだけにすれば痩せるに決まっているが、「バナナと常温の水」とか講釈を付ける人がでてくる。
納豆騒動でフードファディズムという用語が定着するかと思ったが、そうならなかった。
『「食べもの情報」ウソ・ホント』の取材をしてくれた新聞記者も、スポンサーの都合で全然書けないということもよくあった。
フードファディズムは現在の食生活の負い目につっこんでいる。
「バランス栄養食」を冠する食品は、脂肪からのエネルギーが非常に多い。
カップ麺を食べている学生がカロリーメイトを食べたりと、笑い話ではない。
納豆騒動の時面白かったのは高校生からお父さんまで飛びついていて興味深かった。
納豆は1パックはいいが、2パックは食べ過ぎではないか。
食の安全を考えるとき、どの言説が正しいかを判断するのは難しい。
どう考えるべきか。
まずその辺で売っているものに問題は少ない。下手な高級品を買う必要はなく、煮炊きしてたべればよい。
食事は穀類、動物性食品、野菜がある。きちんとつくらないといけないというというのも脅迫で、常識的な食事を考えればリスクは大きくない。
出来合いの食事を使いすぎると塩分とか油とか過剰になるものがあるので、それは気をつけるべき。
一日に食べたほうがいいものというのは地味な情報だが、学校教育で習っているはず。
1985年に多様な食品を食べるほうがいいという情報が厚生省からでた。この時30品目の話がでた。
焼肉屋でハツ、レバー、タンなど肉を7種類食べるより、アジと豚肉2種類なら2種類の方がいい。
数字はあくまでも目安。
食の安全を脅かすのは今日においてもなお食中毒である。
これは生産者から消費者まで意識を高めないといけないことである。
2009年初めて食中毒の死者が(統計上)ゼロになった。
実際には報告されていないのもあるだろうが、同じ統計方法なので一応ゼロを重視しても良い。
バランスの良い食事を考えるために必要な情報は保健所等に栄養士もいる。
家庭科教育でも教科書にはちゃんと書いてある。
基本のテキストに立ち返ればよい。
自分の食べる食事に負い目があるから、その負い目を手軽に埋められるように食べることで埋めようとすると、そこから根拠もなくモノを買っていく、根拠もなく何かを敬遠するという現象が起こるのだと思います。負い目の原因に対して効果のあるものは、都合よくお金を払って上書きすることはできないと考えておかないと、どんどん無根拠なことを信じこんでしまうように思います。
今年の4月から始まったDigという番組ですが、テーマが毎回ハマるとは言えない部分もありますが、なかなか面白いです。どの曜日がいいというよりは、テーマの良し悪しで結構番組の良し悪しが決まってきてしまうとは思いますが、個人的には木曜日の荻上チキさんの回に面白い場合が特に多いかと思います。
金曜日のゆるめな感じも悪くなく、大根監督が毎回水野アナウンサーに振る新手のセクハラ「今週の真裕美」もバカバカしくて大好きです。
今回の放送も色々商品名まで出して批判を展開していましたが、こういう方針で毎回やっていっていただけると面白いと思います。