2010年8月8日日曜日

日本航空の再建問題。荒川強啓デイキャッチより。

7/26の荒川強啓デイキャッチより、町田徹さんの日本航空再建問題についての抜粋メモ。
ポッドキャストの配信もされている筈です。
9000億円のお金を突っ込んでいて、未だに解決の道筋は見えていない、というお話でした。



日本航空債権問題についてはあたかも順調であるかのように新聞報道がなされているが、そんなことは全然無い。
それは政府がそういう風に仕掛けているからであって、新聞にはもっと正確にきちっと報じて欲しい。
8月末に期限が迫っている更生計画、順調に進んでいるかのようなトーンの報道が目立っている。
先週の金曜日あたり某経済誌の夕刊1面トップで「その種の交渉決着へ」みたいな大見出しで山を超えたみたいなことを書いちゃっている。
ところが更生計画というのは、実は一度この会社一度破綻をして、大事なことは4つも5つもあって、
本当は6月までに会社と管財人の企業再建機構が(再建のプランを)、6月の期限には出すことができずに、8月末に出すことになった。
この会社はすでに債務超過になっていて、飛行機の処理に失敗して額が膨らんだから、銀行に債権カットの割合を83%から90%にしてくれ、とお願いをしている。
今回交渉がうまくいきそうだとされているのは、この債権カットの割合を83%から90%は無理なら、87.5%で何とかお願いできないか、ということである。
これは過去の財務状態をきれいにするだけだから、ここから先お金が無いから貸してくれ、といっても勿論かしてもらえないし、今後の再建計画については、儲かるように路線のお客さんの数を増やしますとかいろんなことを言っていて、こういう事を4つも5つも全部クリアしないといけないが、現時点で何とか解決しそうだといっているのは、債権カットの割合の数字がまとまりそうだという1つだけである。
銀行は新たな融資は断るだろう。
過去の融資は無しにするのは、これでおたくの会社とは縁切りできるからしょうがねえや、ということだ。
新たな資金は企業再建機構が6000億の枠をつくってJALに融資している、これを返すための融資である。
国有化に近い状態からなんとか抜けだそうとしているこれさえビタ一文貸さないよと(銀行は)いっていて、恐らくこの問題は8月末に解決しないでウヤムヤにしてまたジャンプする。
それしかシナリオがない。その心は9月に民主党の代表選挙がある。菅さんが財務大臣だったときに決めたつなぎ融資だから、それが問題だなんていうことが表沙汰になるとややこしい。
ジャンプしちゃいましょう、とそういうことになる。
こういう先送りはしちゃいけない。6000億円のつなぎ融資の枠とその後にやることになっている増資、企業債権支援機構は公的資金を9500億円もつぎこむ。国民の税金に他ならない。時間がたつほどかえってこなくなるなるリスクが高まる。
再生させるというシナリオは去年の9月からこの1年近くの様子を考えれば、公的資金の金額が増えただけで、日本航空という企業を再建する方向にはいたっていない。
これ以上先延ばしをしても難しい、日本航空という形で存続は難しいのではないか。
精算してやっていくとか、バラバラにして買ってもらえるところは買ってもらうとか、中途半端な形ではだめだ。
荒療治はしてきたといっているが、解決していないのだから、荒療治には届いていない、ということだ。
この問題、2006年から4年経っても全然解決せずに、金額だけがふくれあがっている。
この手の進行中の案件については、以前どうだったかが流れていってしまって色々問題を忘れがちですが、4年経っても金額だけが膨れ上がって解決にいたっていないと言われると、確かにそうなのかもしれません。
Web上の情報は消さない限りは残ります。報道の量や速さについていくと自分でモノがわかったような気になるものですが、振り返ってみると色々忘れていただけだったというのはよくあることです。
8月末から9月の日本航空関連の報道は要注目ですが、これから先、融資の額がどうなっていくのか、経緯を忘れないことも極めて重要だと思いました。