大阪地検特捜部、主任検事を逮捕。とても勉強になりましたが、個人的には最近になって検事の問題が出てきたのは検察の劣化が理由ではなくて、過去にもこういう話はあったのではないかと思います。
フロッピーディスクのデータを改ざんしたとして前田恒彦容疑者を逮捕した。
日付改ざんの件について時系列で整理。
元々の発端は輪の会が障害者郵便を安くするために、国会議員の石井一さんを通して、石井一さんに頼んで厚生労働省に圧力をかけて、村木厚子さんから上村元係長という風に、指示が降りてきたというのが検察の筋立て。
輪の会は120円のダイレクトメール郵便物を8円で送っていた。
郵便局にこの申請をしようとすると、まず厚生労働省からのハンコが必要になる。
検察の筋立てだと6月の上旬に厚生省から証明書をもとめられて、村木さんが上村元係長につくれと命じたことになる。
指示は6月上旬に出したことになっているが、フロッピーディスクの日付は6月1日だったので、8日に書き換えたとされる。
さすがにこれはやばいということで、このフロッピーは証拠としなかった。
前田検事がシナリオにあうように証拠を作ってしまったが、公判にはださなかった。
村木さんは指示を出していないと主張して、石井一さんはその日にゴルフをしていたことも後ほど割れた。
村木さんが頑として認めず供述が認められなかったので、証拠を作ってしまっている。
これで大騒ぎになっている。
今年の2月くらいに改ざんしたことを上に上げている。
上の方は黙っていたらしいことがわかってきたが、朝日新聞が昨日大きく取り上げたので、全メディアが後を追った。
犯罪隠しをしたおそれがある。
法務大臣は変わったばかりだが、検事総長が辞めるくらいのことをやらないと特捜部は持たないと思う。
刑事事件の弁護をしてきた弁護士でさえも、検事だ弁護士だという枠を超えて、裁判を信じなくなる可能性があるといっている。
これは日本の裁判の崩壊に繋がる可能性がある。
裁判は証言・供述・物証で争うが、物証に疑いが出てきてしまったら、裁判の土俵自体が成り立たなくなる。
これは大変なことをやった。
戦前の特高警察がこういうことをやっていたのではないかということを思い出す。
通常、普通の人が犯罪をすると警察が逮捕をする。
逮捕をすると48時間警察は取調べが出来る。
その後、検察が取調べをできる。
「送検」というのは身柄送検と書類送検があり、身柄を確保したままのものを身柄送検、書類だけを送るのを書類送検という。
警察で犯罪の調査後に検察に渡す。検察は全国にある。
検察は警察から事件を引き継いで調べる。身柄を抑えている場合は10日間調べる。
10日でダメならさらに10日調べられる。検察は20日間調べることができる。
検察は警察からの案件を起訴するかしないかを判断して、裁判にかける。
容疑は被告となってこうして裁判所で争われる。
検察というのは地方検察庁というのが全国にあって、警察からの起訴の判断をしているが、
この中にさらに特別捜査部というのがある。
これは戦後始まる。
闇物資の摘発から始まる。
東京地検特捜部とかそういう言い方をする。東京・大阪・名古屋に特捜部がある。
特捜部の中でどういう事件を扱うかというと、警察では難しい政治家や公務員や複雑な経済犯罪を調べる。
特捜部は贈収賄事件をよく調べる。
これは非常に難しい事件。
お金を渡すなどというのは目につかない。
経済事件についても国税局などとタッグを組んでやる。
直接告訴告白をした直告班などというのがある。
今回の事件は大阪地検特捜部が扱っている。
特捜部の人数は、東京で大体30人くらい、大阪名古屋が10人から15人くらい。
人数が少ないので、特捜検事は検事の中の検事と言われる。
今回逮捕された検事は主任検事らしい。
ひとつの事件の責任者といっていい。
主任検事はどういうことをするかというと、捜査の取りまとめを行う。
捜査を直接行わず、構図を描く。これを筋立てというが、筋立てが上手くいくと事件があっさり見えてきたりする。
筋立てが出来るかどうかは現場を踏んでいるかでかわってくる。
今回前田検事はめちゃくちゃな筋立てを立ててシナリオ捜査をしたが、このシナリオがぐちゃぐちゃだった。
まともな物証がなく、書き換えをしたと考えられる。
どうして書き換えが出来たかというと、家宅捜索で持ってきた捜査本部の大会議室に積んでおくので、それをいじった。
主任検事はそれらを管理している。
今回はここで証拠の改ざんが行われた。
問題は二つ。
シナリオ捜査は筋立てが間違えていると問題が出る。
脅しの捜査などもこれに由来する。
もうひとつは物証の問題。どうしても早くに主任検事になると功を焦ってこういうことになりかねない事態になる。
いまから10年くらいから検察はおかしいと思い始めた。
小沢一郎さんの件もおかしいと思った。
これは特捜幻想だったといえる。
特捜の劣化が起こっている。
いわゆるヤメ検というものがある。
ヤメ検の弁護士は刑事事件では格が上。
辞め特捜はさらに貴重。
検事はそれほど優遇されているわけではないが、不正を見逃さないことに目覚めた検事の心意気に魅せられた人もいるが、やめて弁護士になる時のために特捜に入る人もいる。
腰かけ特捜みたいなものが増えたのも劣化の一つ。
優秀な特捜は誤ったことをしないとかそういう問題ではなく、特捜というシステムそのものを見直す時期が来ているとしかいえないようにおもえます。
可視化がこれらの問題を解決してくれそうに思います。
政権の判断力をこのへんで判断しないといけないかもしれません。