「ポジティブ・ウェルフェア」という言葉がキーワードになるかもしれない、という話題です。
厚生労働白書について今年のものは今までとは全く違う。
今年はイラスト・色が多い。
年金についての謝罪が最初の1/4位入っている。
今回は白書に参考資料として「日本の1日」と「100人で見た日本」をつけてある。
生まれるのは1日何人とか、亡くなるのは何人とかを出している。
これはどこから出てきたのかというものもあるが、色々な数字が並んでいる。
成人の平均野菜摂取量295g
平均歩数は男性は7011歩、女性は5945歩
何故か歯磨を2回以上する人 70.4%
どうしてこの歯磨に回以上が出てくるのかは不思議だが、そういうものが出ている。
6歳未満の子供を持つ親が家事に費やす時間夫60分、妻7時間27分
こう言うのを見ると男性がいかに参加していないかがわかる。
100人で見た日本も面白い。
失業者は2.6人フリーターは1.4人、会社の健康診断で所見ありとされたのが22.4人。
タバコをすうのは男性は14.5人女性は3.9人。
何が驚きかというと、65歳以上は22.7人15歳未満はわずか13.3人。75歳以上は10.8人。
恐らく厚生労働省は「簡単な言葉でみんなで日本のことを考えよう」としてこういう試みをしている。
この中に厚生労働省カルタというのもあるが、これは下らないので紹介しない。
そんな中で今年または来年キーワードになりそうな言葉がある。
「ポジティブウェルフェア」という言葉で、これは「参加型社会保障」とか、「第三の道」といわれる。
社会保障について、大きな政府と小さな政府との例えで使用される言葉。
大きな政府は税金を多く払うことで社会保障を充実させる。
小さな政府はセーフティネットをしっかりするがそれ以外は市場任せ。
第三の道といわれているのがポジティブウェルフェア。
人間がもともともっている自立しようとする生きる力を引き出す、そういう社会保障をしようというものでもともとはブレア政権が導入しようとした。
落ちてきた人がトランポリンみたいなもので飛び上がって、元に戻れるような社会保障をしようというもの。
仕事を失った人にハローワークや生活保護もあるだろうが、ポジティブウェルフェアは職業訓練をするようなイメージ。
この方針をとるのはお金が無いことだけでなく、高齢化が進んでいて、こういう方針をとらざるを得ないという苦しい事情もある。
生活上の困難を人生の雨だと例えるとするとポジティブウェルフェアは以下のようなイメージになる。
生きる力がある人は傘をたくさん持っている。
大きな傘とか折りたたみ傘とか、レインコートを使い分ける。
雨は必ずやむ。そうすると太陽のもので成長ができる。
政府のサポートが必要な人は傘を持っていない人である。
いままでの政府は傘を貸し出すのではなくて、こっちにおいで、ご飯も用意しました、寝床も整えました、としていたが、今度は傘を見つかられる能力を付与しましょう、という方針となる。
傘を見つける方法を教えますが、さすのはあなたです。ということ。
ただ、人は傘をさそうと思わない限り傘はささない。
誰かがさしてくれるのであれば人のところにいこうとする。
自ら傘をさそうとする動機づけが難しいところである。
働くことは楽しいことだ、達成感のあることだ、という実感が無い限りは、前に進んで傘をさそうとは思わない。
その動機づけは白書にはないが、政府がそこまでやるのかは難しい。
方針としてはわかりましたが、河合薫さんが仰る通り、やる気のない人にどのように動機づけをするのかは難しいというのはその通りだと思います。
ベーシック・インカムの議論は社会保障の不公平感と政府の管理の軽減から出てきた議論だと思うのですが、このポジティブ・ウェルフェアは社会保障の財源の無さから出てきた議論だと思いました。これは「社会保障」と言えるのかどうか疑問ですし、「第三の道」とはいうものの、大きな政府・小さな政府のどちらとも矛盾しないものだとも思います。
現在の国家予算の範囲内では小さな政府+このポジティブウェルフェアしか選択の余地がない、といったところに行き着いてしまうのではないでしょうか。