2010年9月2日木曜日

日本航空の再建問題。荒川強啓デイキャッチより。

8月30日の荒川強啓デイキャッチより、町田徹さんのJALの問題についてのメモです。

オープンスカイ暗雲、JALの更生計画案

さんざん報じられている通り、企業再生支援機構と日本航空は更生計画案を提出予定である。

使っている飛行機の種類を減らすとか、人員を減らすとか、ホテルを売却するとか、とにかく頑張ってリストラする、と書いてある。


機構から3500億の投資をしてもらって、銀行には5215億(87.5%)にあたる債権をカットしてもらって11年の3月末には資産超過にして再建する、と書いてある。

問題は、それは効果があるのか、ということ。財務省まで心配しているなどという報道がある。

何がいけないかというと、いろんな合理化をやると書いてあるが、効果のある合理化になっていない点である。

合理的な意味のある指標としてユニットコストという概念がある。

座席一つを1キロ飛ばすコストはいくらかという指標。

2009年、12.6円。2013年13.13円に膨らむ。2014年で12.7円。まだ安くならない。

LCC(ローコストキャリア)の安いところと比べると5倍くらい日本航空は高い。

全然価格競争力がない。それで儲かるというのは、「きっと売上が伸びますよ」という希望的観測から出てきている。

これはダメだと思っているから過去取引のあった銀行からは新たな融資は受けられない。

財務省は二次破綻するのではないかと心配している。


更生案の文面に今後の経営上の課題という項目があり、そこに「イベントリスクへの対応」というのがある。

雇用再建支援機構が事業継続や義務の履行に必要な追加の財政上の支援(出資融資保証を含む)を実行し、予期せぬイベントリスクに即応できる強固な経営体質を構築するよう引き続き支援する所存である。

といった趣旨のことが書いてある。

血税をいつでも使えますということが書いてある。こんな不公平なことはない。

これを11月末までに裁判所が承認するかどうかも大変興味がある。裁判所の見識が問われる判断。

問題は世界が進めてきたオープンスカイに日本も頑張って参加しようとしてきたところに、水を差しかねないというところにもある。

オープンスカイとは、どこの飛行機会社がどこからどこへ飛ぶというのは2国間の外交交渉で決まっていたのを自由にするようにしようという政策。

日本はこれを頑なに拒否していた。千葉の成田が不便だから国際路線は成田に絞るとか、そういうことをいっていたが、このオープンスカイをようやく今年の秋から少し認めましょうということになりつつあった。

ところが、それは自由な競争が前提であって、国からいつでも支援うけている航空会社がでてくると国際摩擦にもなる。

日本航空1社で9500億円のお金が投じられており、それがまっすぐ解決に向かわずに相変わらず希望的観測を垂れ流している、というお話でした。いつものことながら、日本のやることはスピード感と決断量がない、と思わされます。どうもこの国は大きい決断をするのにぐずぐずするところがあると思います。決まったことを書面上きっちり守るのは得意のようですが、決断力とスピード感のなさは至る所に見られます。この再建問題については、離島等赤字でも残さないと行けない路線を国有化であとは分割、精算、それくらいしか解決は内容な気がしますが、どうなるのか、注目です。